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《SEXTET》 – 1985

Omar AfridiのSpring Summer 2026は、装飾から距離を置き、細身のクラシックなシルエットを軸に再構成された。ディテールは極限まで削ぎ落とされ、それぞれのアイテムは、形・色・テクスチャーの組み合わせによって、Steve Reichが用いた“フェージング(位相)”という音楽技法にオマージュを捧げている。

《SEXTET》 – 1985に登場するのは、ピアノ、パーカッション、キーボードなど、複雑さを避けたミニマルな編成。同一のフレーズを複数の奏者がわずかにずらして反復することで、音が重なり合い、聴こえ方が少しずつ変化していく――本作の衣服もまた、その音楽構造を静かに引用している。たとえば、極限まで薄く仕上げたネイビーレザーのM65ジャケットに、細身のフロッキーデニムパンツを合わせる。デニムとテーラードジャケットのルックには、レザーのミニスカートが重ねられ、ジャンプスーツには太いベルトと細いベルトがリピートするようにレイヤードされる。ドレスシャツとロングスカートの間にモクのニットスカートを挟むことで、意図的なノイズが生まれ、リズムが乱れ、また整う。レザーやニットで構成された“Hooded Cravat”は、今季を通して繰り返し登場するキーアイテムとなる。反復の中に仕込まれたわずかなズレや揺らぎ。旋律と和声がにじみ出すように、衣服にも静かな変化と官能が潜む。構築と分解、秩序と遊び。その境界を行き来する静謐な緊張感が、今季のコレクション全体を包み込んでいる。

(Text by Omar Afridi)

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