キリッと冷たい空気の中を暖かいコートを着て歩く。それが何とも心地良くて寒い冬は嫌いじゃない。10年近く着ているともう仕立てたかの様に着心地が良くなっている。洋服全てに言える事だけど長く着れば着る程、自分の体の形に合わせて変化し馴染んでいく。試着した瞬間にとてつもない高揚感を覚えたり、着易いと感じたり、デザインや生地が気に入って・・・。だからこそ購入してきたのだが、その洋服と長く付き合っていく内にそれらをどんどん上回っていく。そんなコートと出会う度に洋服は未完成なんだと思わされてきた。何年も着ていると、毎年そのコートを着る事自体が楽しみになり、あの頃はこんな事考えていたなぁ・・と購入した頃を思い出したりもする。だからこそ大切に思えるし、もっと着たいとも思える。
最近、モバイル決済の対応について業者様から電話がよくかかってくる。確かに、いろんな所で携帯でお支払いされている方をよく見る様になった。小銭は、ほぼ持ち歩かない。なんて話も聞くこともある。いつか小銭がこの世から無くなるかもしれないと電話越しに思った。数億年前に私たちは結婚式を挙げたんだけれども、お祝儀を頂いた。その中に5円玉を入れてくれた友人がいた。この先も良いご縁がありますように。と一筆添えて。その粋な計らいにやられて、私もそれ以降、真似をさせていただいている。ヨーロッパではプレゼントを渡す時に幸運が訪れます様にと想いをこめて古いコインを添えて送る。と聞いた事がある。HaeckelsのインセンスのBOXは、お香と共に古いコインが入っている。コインの上にお香を置き焚く事もできる様に。そういった意味でプレゼントにもこのお香はとても人気がある。いつの日か小銭というのは、違う用途や想いを込めるだけの日がくるのでしょうか?でもそれが上記の様な使い方ならそれはそれで良い世の中の様な気もした。
次会う方が1月となると(それでもほぼ1ヶ月先の事なのにだいぶ先の様だからこの時期はなんとも不思議)来年もよろしくお願いします。って会話がちらほら出てきた。本格的に冬が来たのだ。外を出るとコートが必要になり、ベストやジャケットまたはストール、手袋など色々と重ねる事が多く楽しい季節でもある。コートはそのシーズならではの暖かさに包まれる感じがある。しかしながら、忙しない。なんでか”今年中に”的な雰囲気が漂う。気持ちよく新年を迎えたいという気持ちと共に。バタバタと過ぎ去る時間を少しでよいからゆっくりにならないかと焦る。ほんの数分だけ、キャンドルに火を灯す。インセンスに火を付ける。揺れる灯火や煙の揺らぐのを見ていると次第に時間の流れが変わる。自然と呼吸も深くなり、我にかえった時には部屋中が心地よい香りで満たされている。ほんのり香り付いたコートを羽織って冬になりたての外に出る。
今となってはファッションとしても定番的なデザインとして認知されている為、工業的ながら日常に取り入れ易いヴィンテージの1つであるフランスのカバーオール。1950年から60年代頃のデッドストックです。素材はコットンサージ。コートの下に着てシャツの様な使い方も出来そうです。特にワーカーズブルーは着用年数が長くなるにつれ、美しく変化するブルーを楽しめる。生地も柔らかくなり、体にどんどん馴染んでくる。だからこそ長く着ないと勿体無い。
11/24(水)は定休日です。お問い合わせのご返信や発送業務は木曜日以降となります。ご了承下さいませ。本格的に寒くなって参りました。暖かいニットやコートもございますので、是非探しにいらして下さい。木曜日からもご来店お待ちしております。
1960年代フランスのバルマカーンコート。タグから当時パリ市内にあったブティックが製作したコートだそう。生地や縫製、パターンなどとても丁寧に仕立てられていて上質さを追求して作られた、そんな印象を受けたコート。少しくすんだ様な、グレーがかったネイヴィの色も素晴らしく、身幅がたっぷり、肩の落ちるシルエットは現代の洋服とも相性は良いのではないでしょうか。普遍的だからこそ、使い易い。普遍的だからこそ上質さを。作られてから60年経っていても、まだまだ使い続ける事が出来るコートです。
いかに丈夫か、いかに機能的であるか。ワークウェアに求められている事はそんな部分ではないでしょうか。しかし意図的ではないからこそ、その機能的な部分も含めて格好良く見える洋服もある。裏起毛した綾織のしっかりしたコットン、寒い時期に使われるはずだった1990年代イタリアのジャケット。太番手のホワイトステッチやタグのデザインなど、工業的な洋服だけど少しだけ美意識も感じられませんか?そこが奥深いワークウェアの面白い所。そしてボロボロになるまで着込んで着込んで、くったくたになった頃が堪らなく格好良い。1から経年変化を楽しむ事ができる。それがデッドストックの醍醐味でもあります。着丈が短めなのでGジャンをイメージすると取り入れ易いかもしれません。
コートを羽織る。それは冬の醍醐味であって楽しみ。沢山クローゼットには掛かってはいるけれど、毎年欲しくなってしまうのは何故だろうか。室内では脱いでいるし、移動する時にしか着ない。きっと中に着る物の方がある意味重要なのかもしれないけれど、コートが好きだ。それはもしかすると、アクセサリーや靴に似た感覚なのかもしれない。1930年から1940年代、イギリスの老舗テーラーBURTONが仕立てたウールツイードのバルマカーンコート。手織りでゆっくり織られたツイードは膨らみがあり、味わいのある素材感。厚みも程々でそこまで重たさを感じずデイリーに使えそう。小豆色?ピンク?赤?そんな色目は冬の装いに加えると気分が良くなる。100年近く昔の、とても古い洋服ですが、古さを感じる事もなく現代の洋服にもすんなり溶け込むのではないでしょうか。
1940代頃、フランスのワークパンツ。雰囲気のあるネイヴィカラーの目の詰まったツイード。ストンと落ちるワイドなシルエット。そしてとても丁寧に仕立てられている。古い洋服はどんな人がどんな風に着ていたのか、想像を膨らませる。それが何十年後全く別の国の自分の所にやってきたという数奇な運命を考える事、それもまたヴィンテージの楽しみ方の1つではないでしょうか。しかし、全くの未使用という場合もあって着用される為に生まれてきたはずが1度も使われずにきたのは何故なのか。答えはわかるはずもないが、とても状態が良いという事は大切に、愛情を持って保管されていたのかもしれない。
どこか憧れがあったり、引き寄せられる魅力のあるバーバリーのトレンチコート。初めはちょっと背伸びして着ていたとしても、歳を重ねていけば自然と雰囲気に合ってくる。そんなバーバリーとは長い年月付き合えるコートの1つである。80年代のコットンポリ、少しフェードしたネイヴィが印象的なシングルトレンチ。状態も良く、目立ったダメージはない。季節を問わず一年を通せば、長い時間共にできるのではないでしょうか。・・・と文章を書いている途中に完売しました。LILY1ST VINTAGEには本当によくある事で、服が引き寄せる、或いは人が引き寄せているとしか考えられない時が多々あります。
”アーカイブ”とは記録を保存しておく場所のことを言うそうです。(Wikipediaより)ビンテージというのはその様々な記録が洋服に保存されているっ!と私たちは、解釈しました。ある1900年代のコートは細かくお直しされている形跡がある。ある現代人の見立てでは、”この人は幾度も直し自分に合ったジャストなサイズ感を探したのだろうか?”またある現代人の見立てでは”ここに来るまでに何人もの人が着てその度に直しては着てを繰り返したのだろうか?”またある現代人は”この所有者は永く着続ける事により体型の変化と共に直していったのではないだろうか?”お直しされたという記録から、そんなことを勝手に想像し楽しむ。その直された箇所がデザインされているかの様で、面白い。それを現代の洋服と組み合わせてまた次の所有者が新しく記録していく。服は長く楽しむことができる。歴史に名前は残さない人物が未来に残す、愉快な記録保管場所でもあんじゃないだろうか。
最近やっと肌寒くなってきた大阪だけど、電車に乗るまでと家に帰るまでの道のりしか寒さを感じない。キャンプっていう遊びにハマってから忘れていた季節を感じるようになった。寒いから暖かくする。そんな当たり前の事すら忘れてしまいそうになる。季節があるという事の有り難さをいっそう感じる。ニットとは輪を作りながら編み上げていく生地の事を言うそうです。先日Kota Gushikenくんに教わった。ニットならではの柔らかさは冬になると特に心地よい。”編まれている”という”人”を感じることが出来て色んな意味で暖かい。先日も書いたけど、思い出してみて下さい。悴んだ耳とか寒い手で触れたときのコーヒーとか冷たいタイルからの湯船とか。鍋を囲んでる部屋の曇ったガラスとか。冬がやってきました。