生地がどうとかデザインがどうとかそういうのも大切で興味深い内容だけれども、今回は置いておく。初めて見た時にそういうのを考えたり聞いたりする前にパッと目に入ってきて脳裏に焼き付いたのがこのブルゾン。色合い、かわいい。デザイン、かわいい。着る。かわいい。ずっとかわいい。って言い続けでした。ZIPのブルゾンはカジュアルな雰囲気もあり古着のスラックスと合わせると良い塩梅で濁してくれる。男っぽくっとかそういうのが強すぎる時がある。それも濁してくれる。カジュアルになり過ぎるとちょっと子供っぽく見えてしまう時に質のよいニットなんかはピリッとした感じも出してくれる。きっと価値を自分で高めた物というのは着ていて自信が出るので、堂々とする。70代の男性がピンク好きでね、でも似合う様になったのは白髪が増えてからだと言ってガハハと笑った。なんとも大人だった。
田んぼや山の間を車で走り、なんと素晴らしい景色なんだろうと眺めていた次の日、夕暮れにビルと空のコントラストを見上げてこの都会の空も嫌いじゃない。と思う。その景色の様な絞り柄のカットソー。程よい厚さのメリノウール。上品なウールの光沢感があり、秋は1枚でカジュアルなパンツと合わせたい。ヴィンテージのコートの中に合わせても調和してくれて良い。という感じに今まで着ていた洋服に合わせると、自分の歳に追いついてくれる。suzusanの染めが作り出す世界は素晴らしいけれども、生地も本当に、最高に素晴らしい。
長い長い年月を掛けて大切に使われてきた物は必ずと言って良い程、初めよりも良い顔をしている。雨や風、日光に晒され、何度も洗い、色は褐色し、生地の硬さは完全に無くなり滑らかさが際立っている。破れたり薄くなってきたら補修する。イチからこのコートの様に育てたいとも思うけど、途方もない事だ。それはきっと自分が年老いた時に結果としてそうなっているのだろう。
自然に馴染ませる。比較的新しい2000年代のフランス軍、雪山にカモフラージュさせるためのブルゾンのデッドストック。潔い程に白く、その白さを見て今年の冬はこのブルゾンを着たいと思った。素材はゴアテックス、風よけのハイネックやフード、首周りのドローコード、フロントは三重構造など十分過ぎる機能性を持っている。同色系やアースカラーと合わせて、もしくは対極な色と組み合わせたり。冬に白いアウターを着る事はあまり無かったのでとても新鮮な気分になれた。
古き良き、という言葉がとても似合うアイリッシュツイード。手紡ぎ、手織りが行われていた時代にアイルランドで仕立てられたノーフォークジャケット。毛足の長い上質な羊毛、色彩豊かなネップの表情が美しい。エルボーパッチやマチ付きポケットなど、狩猟ウェアとしての機能美が現代においての実用やファッションとしてもスーッと馴染んでくれるような気がします。
黄色が好き、というお客さんが案外多くいる。私自身もよくよく考えるとアウターにロンTにTシャツ、パンツなど一通り黄色の洋服を持っている事を思い出した。単体で見ると派手に見えるかもしれないが、実は使い易い色なのかもしれない。80年代のL.L.Beanのセーター。アウトドアブランドの作るセーターだけあって、肉厚で目が詰まっていて保温性は抜群。生地は柔らかく、チクチクも感じない。着用した感じはガンジーセーターに近い様な気がした。
Omar Afridiの市森くんがコーデュロイのセットアップを見ながらアンダーソンの映画に出てきそうですよねって言ったからそこから私はコレクション全てアンダーソンの世界にしか見えなくなった。(私はダージリン急行が1番好きだ。)DISTORTED SHIRTと同じ生地でつくられたシャツ。ここから変形してDISTORTED SHIRTになったのかな?で映画の世界に戻るけれども、アンダーソンの中に出てくる囚人はこんな感じだよね?画家はこんな感じだよね?映画監督が作り出す色みたいなモノがある。なら、そんな感じで合わせてみるのも面白いのではないだろうか?ウチにピカソが来たらおすすめするスタイル。とか……。そしたらこの歪んだ世の中が少し面白くなりそうな気がする。ハリと厚みのあるコットン素材で裾が長めのシャツ。袖が深くスリットが入っているので中に着るもによっては見せれる。手袋を見せても面白い。ボタンを留める留めないで表情が変わる。その時の気分でどーとでも変わる事ができると思う。洋服、いや、ボタン1つで。
彼らのコレクションに対するコンセプトがあって、それに沿ってつくられている。”同じ素材で作られた服がそれぞれ違う形に変形している…..”と書かれていた。このシャツもその雰囲気を感じれる1着だと思う。コンセプトを拝読して、私はイギリス人のカロという彫刻家を想った。ミニマムで人体的な作品だ。とファッションはトレンドを作る事もあるが、デザイナーが何を表現しているのか?と知ることで得ることも多い。服として作られたそれを所有し着る事まで出来るのだから、なんと贅沢なんだろうといつも思う。襟が変形していてセーラーっぽくも見えるバランスがユニークで生地とのギャップのあるおもちゃみたいな、ボタンが付いている。生地がハリのある分厚いコットンで羽織と呼んでも良いくらいではないかな?襟だったり袖だったり裾だったりあらゆる場面から観るのが面白いバランスで着れるシャツ。
ニットのブルゾン、カーディガンの様に少し肌寒い時に羽織れるし冬にはインナーとしても使えてとても便利なアイテムでもある。この手のニットは20代の頃好きでよく着ていたが、最近は見かける事もなく見つけた時はテンションが上がった。元々米軍のインナーブルゾンとして使われていたC-2がモチーフ。インナーなので体にしっかりとフィットする。でも素材の柔らかさや伸縮性もありキツく感じる事はなく、むしろ心地が良くとても暖かい。素材はV-NECKと同じ英国のシェットランドウール(スコットランド北部のシェットランド諸島の羊毛)。キレイ過ぎないこの抜け感が丁度良く、色々な組み合わせを楽しめそうだ。
セーターと聞いてまず思い浮かぶのは英国のシェットランドウール(スコットランド北部のシェットランド諸島の羊毛)。Slopeslowはそのシェットランドウールの糸を強撚(糸をねじり合わせる)し、ヴィンテージのミリタリーセーターのあのガシッとした感じをデザインと共に再現している。ミリタリーのセーターは抜群の雰囲気で格好良いが、硬くて重い。そしてチクチクが余計に気になり結局箪笥の肥やしになることが多い。今回の素材はその空気感を残しつつ、限りなくチクチクしない様に仕上げている。サイズバランスも良く、快適な着心地。そして着れば着る程馴染んで柔らかくなる。スウェットの様に着込んで味を出したいと思えるセーターだ。