半年程前の展示会でカットソーの新作を見ていると長袖のポロシャツが目に入った。生地がとても滑らかで気持ちよく、お話を聞くと細番手のコットンをスーパーハイゲージに編み立てたジャージー素材で表面にシルケット加工を施してありシルクのような光沢と滑らかな触り心地だそう。そして隣にあったTシャツを見るとフロントにモルドバの刺繍が施してあった。しかしポロにはなく、刺繍が出来ないか相談してみると快諾して頂け、特別にポロにも刺繍をしてもらえる事になった。デザイナーの瀬谷さんとお話していると、いつも思い掛けない方向へとんとん拍子に進んでいく。そして面白い洋服が生まれるので、私たちは勝手に凄く楽しんでいる。品のあるダークパープルに主張し過ぎない刺繍。とても良いポロシャツが出来ました。
ストレートでワイド、くるぶし丈。潔いシルエットのNAIDAR。様々な端切れの生地を再利用し手作業でパッチワークを施している。染めはONION TEA DYEで独特なムラのある表情がなんとも言えない。バックのカーブを描いた切り替えも大胆で面白いデザインである。そのカーブを利用して長財布の入る深さのポケットが1つ。ベルトループは無く、イージー仕様だ。お馴染みのキーリングを付けられるループも付いている。クラフト感のある物はどうしても牧歌的な雰囲気になりがちだが、彼らの作る洋服はキリッとした部分があり、どんな洋服とも馴染みが良い。どのシャツを着て、ジャケットを着て、コートはこれで・・足元はスニーカーにするのかブーツにするのか。組み合わせを考えるのが本当に楽しい洋服だ。
根が赤い事から茜染めと名付けられ、この根には浄血、解毒、強壮の作用があるらしい。今回のETERNAL SHIRTはそんなMADDER DYE(茜染め)された色を選ぶ事にした。綺麗なピンク、何故か昔から白いシャツの次に好きだったピンクのシャツ。パンツの色も選ばないし、綺麗な色を着ると何より気分が良い。素材は糸からの手染めで古いシャトル織機を使いゆっくり、ゆっくりと織られたコットン100%。少しネップがあり、温かみのある表情である。袖を通すと優しく体を包み、それはまるで湯船に浸かった時の感覚と似ている様な気がした。
もう何度目だろう?と考えてしまう程に開催しているTochcaの受注会を今年も行います。新型に加え、定番のモデルを見直し、改良されました。そして新革”Kobe beef”。新たにお披露目となります。鞄にお財布にベルトに・・。どれもこれも欲しくなってしまうものばかりです。期間中は実物をご覧頂きながら、革の種類や色、ジップの布の色やステッチを指定してお作り出来ますので、是非お越し下さい。ご来店、お待ちしております。
デニムパンツと同じ13.5oz(明るい方)と14ozを組み合わせ、そして玉ねぎの皮とお茶でオーバーダイしたデニムジャケット、”QUENTIN”。腕周りがすっきりとしていて初めはレザーのライダースに袖を通したかの様なフィット感だが可動域の広い設計なので、思いの外動き易い。馴染むと体によりフィットする。良いシワも入るだろうし、今のデニムのコントラストがどんな風に変化するのか、着る楽しみのあるジャケットだ。お客様が『PROJECTbyH.はなぜか長く着るような気がします。』と仰られていて、考えてみると確かに長く着ている。それはきっと替えの利かない、ある意味唯一無二の物作りをしているからではないでしょうか。
コモリの定番であるコモリシャツは洗い晒しがよく似合う着ていてとても楽なシャツ。羽織ると体と服の間に程良い空間が出来て、体が優しく包まれる。それはまるで空気を纏っている様に軽く、シルケット加工された柔らかいコットンは素肌にも気持ちが良い。そして不思議と肩の力が抜けて、リラックスできる。でも見た目はちゃんとしたシャツで・・・。そんな空気感がデザインされているからこそ、誰かにとっての定番で有り続ける理由なのでしょう。
カーディガンの様な使い心地で、ジャケットよりも気楽に羽織れる。あると便利なのがニットジャケット。OLIVERという形のジャケットはシンプルな3つボタンジャケット。(作りはシンプルではない)生地はウール天竺のニットで柔らかいけどしっかりした素材を使っている。袖を通すとニット特有のストレッチのような伸縮性があり、とても快適。そしてウールの暖かさをじんわりと感じる。中に着込める余裕はあるので、アウターとしても着れそうだ。バスクシャツにデニムと。この普通の感じが今は新鮮に感じた。寒くなるのが待ち遠しい。
随分前からクローゼットに並んでいて、いつも羽織ってどこかに出掛ける。新しいはずなのにそんな日常に溶け込んでいる様な、そんな印象のRADIENTという名前のシャツ。袖を通すと優しく包まれ、それはまるでシルクが入っている様な心地よさだった。染めは墨で淡いグレー。襟とポケットはパッチワークの生地を使い、独特なパターンと縫製仕様。個性がありながらここまで視覚的なシンプルさ、そして使い心地をよくするのは簡単な事ではないと思う。とても考えられた、初めから馴染みの良いシャツだ。
新しいデニム(濃紺)を見ると穿きたくなる。それはやはりインディゴブルーに惹かれるからなのだろうか。デニムパンツといえば大体デザインは決まっていて、そこから抜け出す事ができないでいる。それをいとも簡単に突き抜けて、純粋に洋服を楽しませてくれるのがPROJECTbyH.。春夏でも好評だったEROSのデザイン。股上が深く、ワイド、裾に向かってカーブを描くシルエット。少し青みの強い13.5ozのセルヴィッチデニムと14ozのセルヴィッチデニムを組み合わせ、製品後に玉ねぎの皮とお茶を使って染めた独創的なデニムパンツ。光の当たり具合で少し茶色の様な色が見え、なんとも言えない良い色だ。きっと染めるのと染めないのでは印象が違うのだと思う。オンスの違うデニムの色の濃淡がどんな風になるのか。数年後が楽しみで仕方ない。
繊細な雰囲気のノスタルジックメッシュウールのモックネックカットソー。トロトロしていてフワッとしている。素肌に触れても気持ちが良く、ネックは低く締め付けが少ない。着ている事を忘れてしまいそうになる程軽い着心地だ。何と組み合わせようか色々と試してみたくなる。上から何を着る?シャツやスウェットやジャケット、カーディガン。素肌に着ても良いけど、ド派手な古着のタンクトップを透かして着たり裾から少し出してみたり。何だか自由な洋服だなと感じた。そうやって色々試している内にきっと無くては困るカットソーになるのではないかと思う。
バスクシャツやボーダーといえば、アイコンみたいなそれぞれが思う人がいるのでは?私は、ココシャネル、ピカソの人もいるだろし、ジェーン・バーキンとか?または古くからの友人とか…..デニムパンツくらい着られているアイテムだと思う。そんな、バスクシャツ、ボーダーだけど、ある一定の年齢を過ぎると急に着れなくなった。そんなお話をお客様としていました。若く見え過ぎる?肩が異常に張って見える。正解のサイズがわからない。好きな洋服なのに着れなくなるというのはとても寂しいもので、私自身も数年手を出していなかったアイテムだった。素材はコットンシルク、初めからクタっとしていて小慣れた雰囲気だ。ネックの開き具合が絶妙で肩がしっくりくる。CLASSが手がけるユニークさが所々に散りばめられている。妙に裾が長かったり、ボーダーのラインが揃っていなかったりと、”ぬけ”のような感じがする。着てみると、あれ、着れる。良いかも。って感動した。またもやCLASSに狭めてしまいそうな世界をもう一度広げてもらった。これは、心から着たい。と思えたバスクシャツ。